EU統合に合わせてヨーロッパでの通貨が統一されて登場したのがユーロである。フランスをはじめとした十一ヵ国が導入してスタートした。第二次大戦後に強大になったアメリカに、歴史の面では先輩でありながら経済ではどうしても勝てなくなったヨーロッパが、起死回生をねらったものといっていい。一九九九年から、当面金融機関や企業間だけで使われることになるが、一般には二〇〇二年から出回ることになっている。ただ、アングロ・サクソン、ゲルマン、ラテン、バイキング系などの民族が、それぞれの歴史や伝統を持った国家として成立している今、通貨の統一が彼らのアイデンティティにどう影響するかはわからない。たとえば、経済界が統一されるということは、こっちの国では銀行が営業していない、あっちの国は官庁が動いていないなどという国ごとの祝祭日の差をどうするか。現実に長期バカンスをとるという地中海あたりの習慣は、薄れつつある。ビジネスシーンでは解決しなければならない問題がたくさん出てきそうだ。それでもヨーロッパ数ヵ国を周遊するツアーに参加したような旅行者にとって、入国のたびに空港やホテルでフランからリラヘ、またまたシリングへ……といった両替の必要がなくなって便利にはなる。両替のたびに取られる手数料だっていらなくなるから、少しはおトク?ショッピング目的の女性には、通貨が同じなら値段の比較がしやすくなって、どうせ買うならこっちの国でなどということも可能だろう。それでも民族ごとのアイデンティティの差から、食事やサービスには国ごとの違いがしっかり残るとすれば、旅の気分だけは満喫できるわけで、ことレジャーに関してはユーロ大歓迎!といったところか。
飛行中、旅行者が一番長い時間を過ごすのは座席シートだ。その座り心地を考えるのも航空会社の大切な仕事である。ところがこれが意外に難しい。単に寛ぐだけなら、リビングのソファのように深々と座る形にすればいい。ところが機内では食事もするし、本を読んだり書きものをするなど“1脚3役”のシートになる。だから、浅く腰掛けても快適なように設計されているのだ。また横幅や奥行きが広ければいいというものでもなく、あまり広いとかえって落ち着かなくなる。旅行者がシートに座ると体重が足のつけ根にあたる部分に圧力が集中する。それをいかに分散させるかが「座り心地」良さのカギとなるようだ。また背もたれはウェストの少し上の腰椎に圧力がかかるため、座席の座面は背もたれよりクッションを硬くし、なるべく平らな形にしたほうがいいということが航空会社の研究で分かっている。そのため、機内に置いてあるクッションはひとつは背中の湾曲部分に入れ、ひとつは首の後ろに置くとよく眠れる。そして最近では前の座席の下に、足を置くアームが備えつけられているが、無理にそれを使うより機内手荷物のひとつを下肢のふくらはぎの所に置いておくといい。
メーカー側の販売合戦も熾烈を極め、ちょっと油断しているすきに、春ウコンと秋ウコンと紫ウコンをミックスさせた三種混合ワクチンのような新商品や、クルクミン量が秋ウコンの1.5倍も含まれるというインドネシア産春ウコンといった商品などがあいついで発売されている今日この頃。どれもいかにも効きそうな感じがして、「ウコンフェチ」達は、ますます深みにハマりつつある。そのウコンといえばここ数年で全国区の健康食品にのし上がった沖縄を代表する特産品だ。錠剤や粉末、お茶などさまざまなタイプにして販売されているが、もともとはショウガ科に属する根茎植物で、原産地はインドから東南アジアにかけての熱帯地方。中国ではキョウオウという名で呼ばれ、明朝時代に編纂された『本草綱目』にもその薬効が詳細に記されているというから、そうとう昔から利用されてきた薬草だったわけだ。琉球には中国との交易を通じて17世紀頃に伝来したといわれ、王府は厳重な専売制度を敷いて薬用や染料として売買し、莫大な利益を上げたと伝えられている。その後、琉球を支配下においた薩摩藩も専売制に乗り出し、王府が薩摩に売った値段の実に26倍もの価格で大坂(現・大阪)市場で売りさばき、巨万の富を築き上げたといわれている。ちなみに薩摩藩はさらに砂糖も専売制にし、ウコンと砂糖で儲けた金がその後の明治維新の資金源になったとされている。つまり、明治維新に始まる日本の近代化の裏にはウコンの存在があったというわけである。
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